第二次世界大戦にアメリカが参戦せず、日英同盟がナチスドイツを破り、アジア諸国と”大連合”を組んでいるが、不況に襲われたアメリカがフランスなどとNATOを結成し、大連合と戦うという架空戦記。
連合を組んで戦う際、兵器などの規格を統一しておいたほうが混成部隊としては有利だ。しかし、本書のNATO軍は米仏のプライドがぶつかりうまくいっていない、という設定。
いくつかの登場人物群が各章の主人公として活躍する構成は、慣れるとけっこう面白い。主人公を絞ってくれると読みやすいのは確かだが、どうしても架空戦記の場合、小説世界を「面」として描かないとわかりにくくなるので、主人公を絞ると世界全体のシミュレーションをしにくくなる。だから、こういう構成にしているといえる。
方言を多用しているが、これ、本当に正確なのかなァ。大阪弁はなんか古典落語の登場人物が会話しているみたい。ま、このテの方言によくあるでたらめな言葉遣いに比べると、ましだとは思うけど。
(1997年10月17日読了)