読書感想文


沈黙の魔都 荒神伝2
神無月ふみ
中央公論社 Cノベルズファンタジア
1997年9月25日第1刷
定価800円

 「荒神伝」というシリーズ名をみて、「かまどの神様の話か」と思ってしまったが、そんなものは伝奇アクションにはならないのであった。「荒ぶる神」の意味で「荒神」を使っていたのだ。でも、この作者は「荒神さん」が「かまどの神様」と知っててこんなタイトルをつけたのだろうか。
 時の首相を一言でぶっとばせる政界の黒幕が荒神の力を得ようと、主人公たちをさらうためにスナイパーを雇う。しかし、その手兵たちのかけた罠がいささかお粗末。それに引っかかる主人公たちもお粗末。
 登場人物たちの思考や行動をみていると、とても大人とは思えないほど幼く短絡的である。作者は「大人」とはどういうものかよくわかってないのではないだろうか。俗物として描かれる村長の類型的なことといったら!
 また、主人公は警察の特殊部隊に属しているのだが、彼のピンチを救いにやってきたその部隊と、黒幕の手兵が派手にドンパチやらかす。首相の首をとばせる黒幕だぞ。そんなことしたら、自分たちの部署が政治的圧力でつぶされてしまうとは思わんのか?

(1997年10月18日読了)


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