読書感想文


あしたははれるさ
明天快晴 金陵城内記
真樹操
角川スニーカー文庫
1997年10月1日第1刷
定価540円

 中国は宋代の話。受験落第生の若者とそのおじの老学者、山育ちの女の子とその飼い狐。主人公たちのキャラクターがいい。決して類型的でなく、しかも彼等のかもしだすムードがなんかのんびりしていて、いかにも宋代の漢人といういい味だしてる。
 伝奇的要素は皆無だ、というより、伝奇的に見える話を合理的に説き明かす筋だて。
 彼等の危機を救うのは、老学者の教え子である役人。これが単なる正義漢かと思いきや、なかなかのキレもの。主人公たちが巻き込まれる事件をぶじ解決する役回りであるが、実は……。
 いや、おもしろい。しかし、読者層はスニーカー文庫とはちょっと違うような気もする。大人向けとして出版されても特に違和感はないと思うが、どうか。

(1997年10月20日読了)


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