もし武田信玄が死ななかったら、という架空戦記。「上洛編」につぐ第2巻である。
架空戦記なのにやたら忍者が出てきて、都合のいいところで大活躍する。ひどいことに、猿飛佐助が信玄の参謀格の忍者として登場し、無類のスーパーマンぶりを発揮するのだ。時代がずれてやせんかい。それとも「佐助」は代々継がれていった名前だというのだろうか。いくら猿飛佐助が架空の人物といっても、これはあんまりではないか。
武田幕府が京都に開かれるのも、信玄の領地が甲府にあるだけに、ちょっと首をかしげる。いくら足利幕府の後継という設定とはいえ、ねえ。だいたい幕府を開いたということは職制などを整えたり新たな機関を設けたり税制を統一したりするということなのだが、そんなことには一行も触れられていない。単に征夷大将軍に任ぜられたというだけでは幕府を開いたということにはならないのだ、鎌倉以後は。そこが全然わかっていないと、こういうおかしなことになるのだろう。
(1997年10月21日読了)