実際は第二次大戦後に登場した流滴型潜水艦がもし大戦中の帝国海軍にあれば、というアイデア。しかも、これは秘密の独立潜水艦で全体の作戦には組み込まれていず、遊撃隊として輸送船破壊や空母艦隊攻撃に活躍という、シミュレーションというには空想的に過ぎる話である。架空戦記ならではの遊びといえるだろう。
本巻では、これが9台に増えて潜水艦隊を形成する。しかし、いくら優れた潜水艦隊があってもマリアナ沖海戦での日本軍の不利をくつがえすことはできない。これは一つの見識のあらわれといえる。
だが、4巻目のこの時点にあっても、この潜水艦隊の存在により歴史をどう変えたいのか、変えてどうなるのかはまだ見えてこない。単に潜水艦隊を暴れさせたいというだけでは歴史を変えるだけの意味があるのかどうか。
ところで、本巻ではアリューシャン列島での戦いや太平洋での戦いが描かれているが、文中で「冷たい」「暑い」といくら書いてもその寒さや暑さが実感として伝わってこない。作家としての著者の筆力不足を感じた次第。
(1997年10月31日読了)