古代文明の遺産「神の石」を脳に埋め込まれた少女が引き起こす怪事件。彼女の思念を受けた分身である猿が電波などオンライン上ならどこにでも移動でき、あらゆる場所に出没するというアイデアがうまく生かされている。猿のターゲットにもなる主人公の少女には何か秘められた力がありそうで、今後の展開が楽しみだ。
また、ここには「家族の絆」というテーマもあり、意外に保守的な家族観が展開される。青少年向けにはいいのかもしれないが、私にはいささか説教臭く感じられた。もっとも、これは受け取り方次第だろうけれど。
実は西谷史の小説はデビュー作以来久しぶりに読んだのだが、当時は小説としては稚拙な部分が目についたのを記憶している。今回読んでみて、いい作家に成長していると感じた。こういう再会は嬉しい。
(1997年11月4日読了)