シリーズの外伝ではあるが、本伝と同じく主人公の和穂が人間界に巻き散らした宝貝を探し出す話。本伝は長編だが、外伝は短編集という構成になっているというわけ。別に分ける必要ないと思うが、売れ方とか違うのだろうか。
主人公の和穂は巻を追うごとにぼんやりしたかわいい女の子になっていくが、本書の「バラの酔っぱらい、ふたたび」では仙人の弟子らしいところを久しぶりに見せてくれる。
5本の短編、いずれもワン・アイデア・ストーリーながらキャラクターの描き分けがうまく、展開も手堅くまとめている。どれももうひとひねりすればもっと面白くなったのにとは思うが、そのひとひねりというのが、書いてみるとけっこう難しいものなんだよね。でも、もうひとひねりしてほしかった。
(1997年11月4日読了)