陸海軍のやくざな兵隊の吹きだまりであった独立愚連艦隊。1巻目ではでたとこ勝負が大当り。2巻目では華族のお嬢様を預けられてアタフタしながらも偶然が重なって大勝利。かくして第3巻では晴れて特務艦隊となった。出世街道ひた走る植木等の無責任男みたいな感じだが、そうなると、山本五十六率いる連合艦隊からもあてにされ、まっとうな作戦に組み込まれてしまう。むろんそんなことは意にも介さず愚連艦隊は突っ走るのだが、どうも作者は無理矢理ハチャメチャにしようとして、かえってギャグが上滑りしてしまう。おかまの陸戦隊長のセリフは「お姐ことば」というより「コギャル語」みたいな感じだなんて、アラ探ししてしまうのは、作品のもつパワーが薄れてしまっているからではないか。宿敵として愚連艦隊のアメリカ版みたいなのが登場するのだが、真っ当な中にケッタイなのが暴れこむのがおかしいのであり、ギャグの相乗効果よりも逆に散漫な印象を与え、狙い通りにいっていない。シリーズものの難しさを感じる。
(1997年11月7日読了)