朝鮮半島から渡来したスサノオやヒミコたちが、新羅と百済の力を背景に日本列島での覇権を争う物語で、古事記、日本書紀の現代的解釈である出雲王朝と九州王朝の闘争を下敷きにしている。したがって、伝奇的要素は薄く、本格的な古代史小説である。
小説上の人物の設定と神話の整合性もよく考え抜かれており、なかなかの力作。惜しむらくは、話の展開をほとんど地の文で説明してしまい、大河小説のあらすじを読まされているような感じがすることだ。頭に浮かぶ文章を垂れ流してやたら長いシリーズにするものもかなわんが、ここまで切り詰めてしまうと小説の骸骨みたいで、味わいも余韻もなくなってしまう。せめて上・下の2巻くらいの長さにしてもっと書き込んでほしい内容の小説である。せっかくのアイデアが、これではもったいない。
ひょっとすると、こういうノベルズ向きの作家ではないのかもしれない。
(1997年11月9日読了)