真田幸村と十勇士たちの活躍で徳川家康を倒した前作、伝奇小説なのか架空戦記なのかどっちつかずだと思った印象があるが、今回はより伝奇色を強めている。
家康なき後、徳川秀忠と豊臣秀頼の対決となり、真田幸村は秀忠を倒すために猿飛佐助たち真田十勇士を使い最後の決戦に挑む。対する徳川陣営には雷の数馬なる妖術を使う忍者が。猿飛が猿の大群をあやつり名古屋城を襲撃すれば、数馬は昆虫たちの竜巻で対抗するという、妖術合戦が面白い。それだけに、そういう方法で歴史を変えるのは架空戦記としてはアンフェアな気がするのだが、どうだろうか。どうせなら正統派の伝奇小説として忍者の術比べに絞って物語を構築した方がより面白くなっただろうに。
やはり、どっちつかずという印象を拭いさることはできなかった。
(1997年11月12日読了)