時事ネタを精神科医の視点から分析したコラムをまとめたもの。「日経アントロポス」と「S−Fマガジン」に連載された文章を中心に、1990年〜93年の分が収録されている。
4・5年前の出来事でも10年以上も前のことのように感じてしまう事件が多い。それだけ現代社会が生き急ぐように進んでいるのだろうか。
かなり難しい内容のことも平易に解説されている。常に事件を一面的に見ようとせず、バランスを保った姿勢で書かれているのは、カウンセリングなどで培ったものなのかもしれない。そういう意味で、本書がマス・メディアに提起する問題点は重い。
ところで、「日経アントロポス」に掲載された分は、必ず末尾を「きっとダイジョーブ!!」という言葉でしめくくっている。中にはかなりそこにもっていくのが苦しい展開のコラムもあり、このようなスタイルで書くことの難しさを感じた。
(1997年11月14日読了)