前巻では加藤清正が石田三成を倒し、豊臣秀頼を奉じて西軍の大将となった。清正の影武者もつとめる忍者、風魔小太郎がスーパーマンのような大活躍をするのだが、そんな忍者が清正に生き写しで二面作戦をとるなどご都合主義そのものの展開であった。
本巻では清正の打つ手打つ手がズバズバあたり、江戸城を焼打ち、徳川家康を宇都宮まで追い込む。なにしろ本書の家康はぼんくら大名で、西軍が水軍で海から来る作戦に対しなんの警戒もしないというのだから、そりゃ清正は強いよね。ここまで無能な家康は見たことない。
ところで、西軍の戦評定で「相手のド真ん中に突っ込む」などと言わせているが、これは現代大阪弁である。こんな言葉遣いをする大名はまずおらんで。無神経な表現とはいえまいか。
(1997年11月15日読了)