舞台は魔法能力が日常的なものである以外は我々のすむ世界とよく似た世界。主人公の夏実は「古墳バスター」という空間の次元をあやつり封印された異次元空間を開いたり消したりできる能力を持つ者だ。遺跡に封じこまれた怨念なんかを異次元から呼び出し、退治したりもする。
これは伝奇アクションといっていいのか、異次元ファンタジーといっていいのか、どっちなんだろ。天神さんの霊とか崇徳院の霊とかが出てくるからにはやはり伝奇アクションなのかな。しかし、世界自体の設定は明らかに我々の世界とは似て異なるものだし。ま、ジャンル分けなんか意味ないかも。
登場人物の個性が各々際立っている。それをうまく生かした構成になっている。でも、何か物足りないのだ。それは、登場人物たちが分かりやす過ぎて謎の部分や影を感じない、つまり、みんな善人過ぎるのだ。それと、これだけ激しい戦いを終えた後なのに、その戦いによって主人公の内面がどう変化したのか、何も変化してない、そこが話を浅いものにしてしまっている。そんなふうに感じる。けっこう書ける人だと思うだけに、その点非常に残念である。
(1997年11月18日読了)