読書感想文


グローバルヘッド
ブルース・スターリング著
嶋田洋一訳
ジャストシステム
1997年7月24日第1刷
定価2300円

 清水義範ばりのパスティーシュがあり、またイスラム教国、旧ソビエト連邦そして資本主義アメリカをからかったとおぼしき政治風刺ネタがありという短編集。だいたいが80年代末期から90年代初期に書かれたもので、10〜5年しかタイムラグがないというのに早くも風刺が的外れになっているような感じがする。こういうものはリアルタイムで訳出してしまわないとみるみるうちに風化してしまう。それに、パスティーシュにしても文化、風土が私にはわからないせいか、その面白さが伝わってこない。
 小説の構成自体、ラストにひねりがないものばかりなので、読了後もスカッとせず胸にモヤモヤが残る。どうも、わたしにはスターリングは合わないみたいだ。
 解説の巽孝之さんが集中のベストともちあげている「ボヘミアの岸辺」にしても、もうひとひねりほしい。主人公が狂気に巻き込まれて一気に全てが崩壊して主人公もハチャメチャのドガチャガになってしまった方が面白いのに、あっさりその場から逃げてしまうなどというあたりまえすぎる展開に、肩すかしを食らった思いだ。

(1997年11月26日読了)


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