読書感想文


亜欧州大戦記 3 北部正面消耗戦
青木基行著
学習研究社 歴史群像新書
1997年10月4日第1刷
定価760円

 ドイツが早々とソ連に敗れ、日本はイギリスと組みアメリカは中立、ソ連は東欧を史実よりも早く社会主義国とし、日英同盟対ソ連という大戦が始まる、という設定。
 本書では、中東での戦いとシベリアでの戦いが展開される。
 アムール河での戦いなど細かな描写で読ませる。架空戦記に共通する欠点……主人公を特定できない、登場人物が多岐に渡り過ぎる……はあるものの、比較的よくまとまった話ではある。
 このシリーズの特徴として、後世の歴史を動かす人物たちがワンシーンだけ効果的に登場することがあるが、本書ではパーレビ国王、ホメイニ師、サダム・フセインらの若き姿が見られる。ただ、これだけ大きく歴史を変えておきながら文中で示唆される彼らの後世での役割は現実の歴史とさほど変わっていないようだ。この改変が後世に与える影響は大きいと思われるのに未来が現実と変わらないとすれば、いったい何のために歴史を変えるのかよくわからない。そこらへんが、なんか不満。

(1997年11月29日読了)


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