欧州に派遣された「兵隊元帥」たちがドイツ軍と協力して英米連合軍と戦うのがこのシリーズ。
今回はマルタ島攻略で潜水艦隊と空挺部隊が二面作戦をとる。政略上欧州に派遣された彼らが生きて日本に帰るためには戦果をあげ英雄とならねばならない。しかし、戦果をあげれば彼らはますますドイツ・イタリア軍から便利使いをされてしまうことになる。
彼らの活躍が歴史をどのように変えるかよりも、こういう部隊があればどんな活躍をするかというのが小説の眼目となっている。こうなると、歴史の大きな流れよりも戦略、戦術など細かい点ばかり追及していくことになる。よって、改変後の歴史をどうしたいのか、史実と違うことにより史実のどういったところを批判したいのかが私には見えてこない。
筆力もあり、キャラクター造形など見るべきところの多い作家であると思うので、そういった点が私には気になってならない。
(1997年11月30日読了)