太平洋戦争開戦の年に、商船を改造した仮装巡洋艦「護国丸」の活躍を描く新シリーズ。
「護国丸」はふだんは商船として航行し、いざという時には巡洋艦として戦闘に参加する。本書では、ドイツへジェットエンジンの設計図と技術者を受け取りに行き、帰路、インド洋でイギリス艦隊と戦う様子を描く。
この「護国丸」がゲリラ的に働いて戦線をどう導いていくのか。まだ英米とは開戦していないので、もう少し巻を重ねないと全体像は見えてこない。
小説としては、場面が数行でめまぐるしく変わり、読んでいて落ち着かない。作者はスピード感を出したくてそのような構成をとっているようだが、これは劇画ではないのだ。
この仮装巡洋艦を使ってどのように歴史を変えていこうとしているのか、変えた歴史で現在の我々読者に何を訴えたいのか、続刊を読まないとわからないというのはもどかしくもある。
(1997年12月31日読了)