シリーズ第2弾。
特定の交差点で、少女たちが次々と自殺。彼女たちの共通点は小学校で同級生であったこと。主人公の勇帆は、霊感の強い高校生。彼の恋人もまた、交差点に飛び出し瀕死の重傷をおう。主人公の親友で霊狐を操る高陽は、病室に現れる小学生の幽霊から原因を追い求めるが……。
このシリーズは主人公たちに特に強大な力を与えておらず、事件の解決は被害者や主人公たちの人間性にゆだねられているところに大きな特徴がある。また事件も組織がどうしたとか世界を支配するといった絶対悪の引き起こすものではなく、弱者がその弱さゆえに怨念を持ったりするという、ティーンズ向け伝記アクションにはあまりない設定になっている。
そこにあるものは、作者の弱者に対する優しい視線と、希望を捨てない前向きの姿勢である。物語としては短編向きのアイデアを無理にひきのばした感があり、若干弱さを感じるが、作者のこういった視線や姿勢には好感が持てる。人間の善性を信じるというのはこういうことをいうのだろうね。
(1998年1月5日読了)