読書感想文


機密空母赤城 2
福田誠著
学習研究社 歴史群像新書
1997年11月7日第1刷
定価760円

 史実では、暴走する陸軍に対し、それに引きずられていった海軍という図式があるが、本シリーズでは前巻でソ連に勝利した海軍が暴走し、日本を戦火に導いていく。シミュレーションもこれくらい大きく発想を転換してくれないと面白くない。
 ここでは関東軍は満州事変で拡大をストップし、満州国は英仏などから承認される。しかしソ連の兵力は強大で、満州の関東軍を壊滅状態に追い込み、陸軍は海軍の助けを借りてなんとか停戦できる。史実で重要な働きをする人物たちが次々と死んでいき、そうとう大きな歴史改変が今後も起きそうである。
 作者はシミュレーション・ゲーム・デザイナーだそうだ。したがって、戦いの経過も実際にシミュレーション・ゲームを作って結果を出してみたりしたそうだ。ゲーム・デザイナー出身者によくあることだが、小説としてはあまりうまい構成ではない。しかし、それを上回るアイデアの面白さや、テーマ設定のよさが見られる。
 ところで、作中に「虎船団」という輸送船団が全滅するシーンがある。沈没する船の名は「新庄丸」「桧山丸」「第三和田丸」「平塚丸」「石嶺丸」「大豊丸」「藪」ついには「源五郎丸」……。護衛艦の責任者は吉田義雄で責任をとって自決してしまう。お遊びとしては面白いかもしれないが、こうしつこくやられると、なんだか腹が立ってきた。なんでタイガースの選手がここまで沈没せないかんのや!

(1998年1月9日読了)


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