凶悪犯を追った宇宙船である星に不時着したジェラ。彼女のついた星は、人工的に制御された<人間>と、<人間>に迫害される<ヒト>たちの住む星であった。支配者層である<人間>は歴史上の独裁者たちの名を持った王たちが領地を争う”EL”世界を形作っている。
”日本”の王、ノブナガの家臣カツイエは、”EL”世界の覇権を握るための鍵をピラミッドから入手するが、”ドイツ第三帝国”の兵と争い、<ヒト>の少女リュリにその鍵を託す。鍵をめぐって、リュリの奪い合いが始まるのだ。リュリに出会ったジェラはリュリとともに旅立ち、”EL”世界のどこかにいる凶悪犯を探し、リュリは生き別れになった母のいる”時の塔”を探す。母は大きなネズミ(ミッキーマウスそっくり!)とともに”EL”世界を制御してるようである。
章立てが全て「プロローグ」とつくという妙な遊び(?)もあるが、つまりこれはこの本自体がまるごとプロローグということなのかもしれない。<人間>たちの正体、この星の正体など、謎を多く提示したまま次巻に続くという構成になっているが、この設定は、しっかりしたSFアクションとして、なかなか興味深い設定であり、続刊の刊行が待たれる。
だから、ここを読んだ方はぜひ読んでみてほしい。面白いことは私が保証する。私が保証したからといってどうなるものでもないのだが、とにかくお勧めの一冊。
(1998年1月16日読了)