読書感想文


新選組秘剣伝 三
瑞納美鳳著
学習研究社 歴史群像文庫
1997年11月13日第1刷
定価760円

 第一部完結編。
 琉球の王女、尚玲覇は薩摩藩父、島津久光の側室として輿入れされるところであった。しかし、機を見て脱走、めぐりめぐって近藤勇の許にかくまわれることになる。男装し、新選組の一員として活躍、打倒薩摩と琉球の完全独立を夢見る。
 「幕末剣豪シミュレーション」と帯に書かれているが、こういう小説を「シミュレーション」とはいわない。史実に架空の人物がまじるだけで「シミュレーション」というのならば、「鞍馬天狗」も「真田太平記」もみんな「シミュレーション」となる道理だ。そんなばかなことはない。これはまっとうな時代小説であり、本書が単独デビュー作となる作者であるが、有望な時代小説の書き手が登場したと、もっと注目しなければならないはずである。
 単独デビューというのは、瑞納美鳳が「霧島那智」名義で若桜木虔とともに架空戦記を書いていて、本作が瑞納美鳳として出版された最初のものだということである。まっとうな時代小説を書けることがここで証明されたのだから、これを機に独立した方がよいのではないだろうか。それだけの水準に達している作品なのだ。大傑作というわけではないにせよ。もう合作の片割れに甘んじる必要もないだろう。

(1998年1月17日読了)


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