読書感想文


新・世界最終戦争 新生・連合艦隊の出撃
佐治芳彦著
KKベストセラーズ ワニ・ノベルス
1997年11月15日第1刷
定価800円

 同じ作者と版元による「世界最終戦争」シリーズもあるが、これは新たに構想を練り直した別物である。
 前シリーズでは石原莞爾を神格化し過ぎ、また、ストーリーを追うのに手一杯といった感があり、小説としての出来はあまりよいとはいえなかったが、今回は史実では暗殺された永田鉄山を殺さず、石原莞爾とコンビを組ませて陸軍のあり方を理想的なものに変え、岡田内閣と連係して日本のあるべき道を探ろうとするもの。政治史としての架空戦記を書こうという意欲は買える。ただ、展開があまりにも出来過ぎで、これからどうなるのかというスリルに欠ける面もあり、エンターティンメントと考えると、辛いものがある。やはりこの人は評論活動などの方が向いているといえそうだ。もっとも、「竹内文書」の正当性を説くトンデモ本の作者というイメージは拭えないのだが。

(1998年1月18日読了)


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