読書感想文


倒凶十将伝 巻之八
庄司卓著
朝日ソノラマ文庫
1997年12月30日第1刷
定価450円

 東京を破壊し、自分たちの世界を築こうとする凶魔と、前世の因縁で凶魔と戦うべく集い始めた十将たち。近未来版「八犬伝」か「真田十勇士」か。
 主人公、瀬具十斗が前世の自分と対峙し凶魔と戦う自覚を持ち、とうとう魔王と対決する。魔王は凶魔の対抗組織の代表として世界の注目を浴びる吉良出雲にとりついていた。しかし、その正体を現し、物語は佳境に。
 凶魔や魔王の設定になじめないものがあったこの作品だが、ここにきてストーリーの展開がヒートアップしてきた。設定もキャラクターも少しずつ深みを増してきて、面白くなってきたのだ。
 ヒーロー群像としての十将は少し多すぎるような気がする。どうしても印象の希薄なキャラクターが出てくるのはしかたないか。「八犬伝」では滝澤馬琴が、「サイボーグ009」では石森章太郎がやはりそこらへんで苦しんできた道だ。難しいところですね。

(1998年1月31日読了)


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