作者はベテランのシナリオライター。学園もののマンガ原作や青春小説でずいぶんと昔にこの名前を知った記憶がある。本書はシリーズ完結篇。
「本能寺の変」は毛利の軍師が明智光秀に教唆をして起こさせたという設定。そこで羽柴秀吉がいわゆる「中国大返し」で天王山に戻ったところに毛利軍が待ち伏せをして秀吉を倒してしまうという作戦になる。よって「秀吉の一日天下」となるわけである。
忍びの者を駆使して歴史を変えるという手は他の作家でも見られるが、このシリーズは忍びの諜報能力というものをなかなかうまく使っている。だから、卑怯な感じがしない。そこらはベテランらしいところである。
ただし、本書の企画自体が昨年の大河ドラマに便乗したという感じがするので、器用にまとめてはいるが新味にかけるきらいがある。良くも悪くも職人仕事なのである。
(1998年2月1日読了)