魔法や呪術によって文明が成り立っているマジカル・シティ。ここでは科学文明は禁制である。シティをとり囲む壁の「向こう側」から来る科学を扱う敵たち。それらからシティを守るのがナイトたちの役目だ。主人公はナイトのひとり、ベンこと鈴木勉。
今回はこれまでとは違い、シティの監獄の所長が「マジカル・シティは市長が作り出した幻影で、我々は”向こう側”にいるべきだ」と反乱を起こす。つまり、内部の敵との戦い。ベンと新米くの一のトベラが反乱者を倒すために派遣される。期限までに倒さないと、市長はベンたちもろとも監獄を消滅させると通告、時間とも戦わなくてはならない。この設定で物語がスリリングな展開になった。
手練の作者らしく、作品中に仕掛けられた伏線や遊びがうまく生かされ、ラストまで一気に読ませてくれる。エンターティンメントはこうでなくてはなるまい。
このシリーズ、各巻に魅力的なマドンナが登場しベンとうまくいきそうになるが次の巻ではみごとにふられているという決まりごとがある。本書のトベラはちょっとロリータはいってるけど、けなげでいいぞ。
(1998年2月7日読了)