今年のNHK大河ドラマに便乗したような企画ながら、橋本純ならではの大胆かつ細心な展開で歴史改変ドラマが開幕した。
江戸湾に侵入したペリーの黒船と、松平春嶽の策謀により動いたロシア・プチャーチンの黒船が湾内であわや戦闘に入らんとする。その結果、日米和親条約は締結に至らず、若き慶喜が史実よりも早く頭角を現すことになる。
幕府内の派閥争い、雄藩の主導権争いなどといった政治面の記述がしっかりしているので、戦闘シーンにも説得力が増す。また、外交とはいかなるものであるかを読み手に問いかける。そのような問題意識ゆえに、続刊が楽しみである。
(1998年2月11日読了)