信長が本能寺で死ななかった後の戦乱の世を描いた大河長篇もいよいよ佳境に。
本巻で天下争いも徳川家康と黒田如水の二人に絞られ、完結近しという感じ。2度めの”関ヶ原の合戦”で石田三成が敗れ、豊臣家の参謀として黒田如水が復帰、その知謀で天下を二分するところまで豊臣家を立て直す。しかし、その陰で如水は次第に野望を抱き始める。
デビュー以来、本作に絞って書き続けてきた作者だが、一冊ごとに人物描写もきめ細かくなり、成長著しい。問題は、天下統一後の展開だ。天下は統一されました、はい、面白かったですねえ、で終わってほしくないのだ。どのようなテーマを読者につきつけてくるのか、それが楽しみだ。ここまで物語を書き綴ることができた実力派だ。刮目して待とう。
(1998年2月15日読了)