「ブレード・マン」で現代にチャンバラを蘇らせた作者による、続編。立ち回りは派手だが中身の薄かった前作に比べ、今回は人間関係をふくらませ、面白くなった。特に、主人公・司城の恋人明美と、平安時代にそのあまりの凶暴さから一族を根絶やしにされたという紫紺一族の末裔雪千代が操る式神、沙絵の、二人の女性がいい味を出している。妙に明るくて軽薄なところが、いい。この二人のおかげで陰惨な話が救われている。雪千代なんて、マザコンから脱却できないでいじいじしているたまらんキャラクターだからなあ。
このシリーズの辛いところは、主人公たちの持つ「天帝」「地王」「我神」という三種の妖刀のそれぞれの力にはっきりとした違いがないところだ。だから、戦いにメリハリがなくただ斬った張ったを繰り返しているだけの大味な展開になってしまう。まだ「我神」はそれでも斬った相手の魂を抜くという妙技があるだけ、立ち回りに幅が出てはいる。
続刊以降でその妙技を「天帝」「地王」にどう使うかがポイントとなるだろう。
(1998年2月18日読了)