病魔を克服した武田信玄は、上洛に向けて織田信長と対決。しかし信長はこれをよく防ぎ、とうとう信玄は上杉謙信と織田信長の両雄に東西から挟まれる形になる。
本巻は上杉勢との上野国での決戦を中心に展開される。改変戦国史としてはそれほどダイナミックな展開を見せるわけではない。けれども、細かな描写で破綻なくまとめている。その分、胸がわくわくするというほどの面白さを感じるわけでもなく、なるほど、こういう選択肢もあるのだな、という程度の感想しか持てない。
あんまり数多くの架空戦記を読み過ぎて、感覚が麻痺してしまっているのかもしれない。しかしですね、歴史を改変したことで何かを訴えかけてくるものがあまりない小説というのをどう評すべきか、いまだに迷うところではありますね。
(1998年2月22日読了)