読書感想文


銀星眼の魔神〜陽〜
チキチキ美少女神仙伝! 5
嬉野秋彦著
角川スニーカー文庫
1998年2月1日第1刷
定価500円

 「銀星眼の魔神〜陰〜」に続くエピソード完結編。
 太上老君につかえる双子の美少女神仙がくりひろげるアチャラカ中華伝奇小説。
 姉の麗芳は武芸に長じ色気より食い気、妹の淑芳は料理がうまく食い気より色気という対照的なキャラクター設定。そこらあたりは成功しているとは思うんですけどね。
 本エピソードでは魔神蚩尤(しゆう)が復活し、天界を騒がせようとする。復活するために108人の少女の血を集めている。銀色の眼を持つ淑芳は蚩尤一味に誘拐され、生け贄にされてしまう。それに対し妹を救わんと麗芳をはじめとして謎の剣士、天界の神将も加わり、蚩尤との間に一大活劇がくりひろげられる。
 こう書いていくと骨太な伝奇アクションを連想してしまう。実際、物語の骨格はしっかりしているのだ。なのに、まるで悪ふざけみたいなコメディという肉付けをしている。そのため、しっかりした骨格が生きてこない。乳のでかいパッパラパーな女の子がバカなことばかりしている小説という読み方になってしまうのだ。なんてもったいないこと。
 この作者のセンスは物語作家としてのそれであり、コメディ作家としてのものではないのだ。中国の神仙が今時の横文字が入ったセリフを言ったりするのは、いかがなものか。
 才気がありすぎて手が滑ってしまうタイプの作家なのかなあ。

(1998年2月22日読了)


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