日本の戦国時代に似せた異世界伝奇アクション風ファンタジー(なんじゃそら)。
だから、こういう設定は箱庭になると言っているでしょうが。楽してはいかんぞよ。
武神、日狩命を祭る「剣の大宮」から神刀「日狩」が盗まれる。大名、蒼天家の娘で巫女として大宮に入った千夜は、それが実家の手のものによって盗まれたことをきかされ、双子の妹迦夜の婚礼祝いの使者として実家に帰り、「日狩」を取りかえそうとする。言い伝えでは「日狩」に斬られた者は鬼に変じるという。おりしも城下では鬼が出没するという噂が…。
厳しいことを書くが、作者の未熟さというものがはっきりと小説に出てきてしまっている。例えば、鬼の正体は本の半ばでもう読めてしまう。千夜の前に現れた謎の少年、日鷹の正体もすぐに察しがつく。小説としての仕掛けが浅はかだというと言い過ぎだろうか。
また、登場人物たちもかなり単純化されたキャラクターで、魅力に欠ける。
可哀相だが、少しデビューさせるのが早すぎたとは言えないだろうか。作者はまだ23才。もっともっと経験を積んでからでも遅くはない。
(1998年2月28日読了)