日英伊対米仏という図式の第二次世界大戦記。弱いといわれたイタリアがフランス戦艦を航空機で沈めるなど、真珠湾攻撃のなかったこの世界でも、少しずつ航空主兵への認識が改まりつつある。といっても、まだまだ大鑑巨砲主義を中心として話は展開されているが。
本巻では大平洋で戦艦武蔵と英国艦プリンス・オブ・ウェールズが共同で米国艦隊と戦い、大西洋では仏国空母ベアルンと英国艦ウォースパイトが戦うという、架空戦記でしか見られることのないシーンが目白おし。
ファンには答えられないであろうこのシーンも、私にとっては戦闘ばかりで話がのろのろと進まないので、しんどい。つまり、純粋に、戦記ファンのためだけに書かれている作品なのだある。もっとも純粋な戦記ファンのために書かれたのでない架空戦記というのは、まあ、あまりないのだけれども。
(1998年3月3日読了)