葛城皇子(中大兄皇子)と有間皇子の関係を描いた古代史ロマン。伝奇的要素はなく、純粋な歴史小説といえる。
有間皇子は、父、軽大王の死後、生駒に陰棲。しかし有間の胸の奥に秘められた熱い感情を見抜いた葛城皇子は有間の肛門を貫くことによりそのプライドを傷つけ、ひれ伏すところを見ようとする。
葛城皇子(中大兄皇子)が同母妹と恋愛関係にあったというのは有名な話だが、バイセクシャルにしてしまうというのにはまいってしまった。弟の大海人皇子まで有間皇子に恋愛感情を抱いてしまう。男と男の恋愛小説というのは、私ダメなんです。
それはそれとして、有間皇子といえば蘇我氏にそそのかされて反乱を起こしたことで知られているが、当然物語のクライマックスはそこである。しかし、本書はその部分が弱い。動機づけ、展開などそれまでの葛城皇子との関係からいけばもっともっとえぐるように描けるはずなのに。葛城と有間の関係だけを書きたいのならそこに絞ればよかったのだ。
逆にちゃんと書けてるなと思ったのがこの乱の間の大海人皇子と中臣鎌足の動きである。日本書紀ではこの二人の動きはあまり記述がないのだ。書かれてないからといって動いてないということはないだろう。その点はうまく料理している。
それはそうと、本書を読んでて思ったのだが、男どうしでアナルセックスをするのに、葛城皇子たちは向かい合って正常位でしてるようなのだ。これじゃあ陰茎と睾丸が邪魔になってやりにくいのではないかと思う、たぶん。それともよほど体が柔らかいのか? ここはやはりバックから犯すのでないと無理だと思う。なにを書いているのだ、ワシは!
(1998年3月15日読了)