読書感想文


花のお江戸のでっかい奴【色道篇】
鳴海丈著
有楽出版社(新書)
1996年9月25日第1刷
定価767円

 タイトルが示す通り、官能時代小説であります。でっかいのは男の持ち物であります。
 主人公の貫太は生来の女好き。村中の女といたしてしまい、村を追い出されて江戸につく。そこで無一文ながら年増女やら生娘やらとうまいこといい仲になってねぐらにありつくという調子のいい男。ところが悋気やら密通がばれて追いかけられたりやらで、結局は素っ裸で逃げ出すはめに。
 主人公の野放図さがユーモラスで、次々とセックスするだけの話になんともいえない味を出している。
 色道の前には身分も何も関係ないという自由闊達な官能小説。
 あとがきで作者は主人公を植木等の無責任男になぞらえている。なるほど、タイトルも植木等主演の映画「花のお江戸の無責任」のもじりである。

(1998年3月22日読了)


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