イタコ修業中の女子高生、ムー大陸戦士の生まれ変わりと信じているクラスメイトの男の子、植物と交信できる花屋の息子のトリオが、珍事件をドタバタと解決するオカルト・コメディ。
オカルト・ネタを笑い飛ばすようなつくりになっているが、それに徹しているわけでもなく、アイデアは面白いのだが展開がストレート過ぎてもう一ひねりほしい。つまり、ちょいと喰い足りないのだな。「もう一ひねり」というのが難しいのは承知しているが、やはりもう一ひねりが欲しいなあ。
この作者の「家族狂」(角川書店)もそうだった。面白いことは面白いのだが、やはり「もう一ひねり」という点で物足りなさが残った。すごく素直な人なんだと思う。だからひねくれた書き方ができない、なんていうのは邪推かね。
本書は狐の嫁入り奇談「世にも怪奇なお嫁入り」、猿神憑きの家にまつわる因縁話「猿神家の一族」、人類滅亡を一年まちがえて降臨した大魔王をこらしめる「サンタが街にやってきた!」の三編を収録。タイトルほどパロディがかっているわけではない。
青少年向けを意識してか、作者の資質がそうなのか、仲間に支えられて生きていることの幸せをかみしめるところなど、どうもアイデアとの違和感が残ってしまった。なんだかもったいない。
(1998年4月11日読了)