死を目前にした東郷平八郎は、盟友山本権兵衛、軍神秋山真之、好古兄弟ら、明治の名将7人を転生させ、元帥府にて指揮をとらせる。「天翔」は、「転生」「天将」にひっかけた語呂合わせなんですね。天将たちは航空戦艦三笠に座乗し、秘密の作戦を開始する。
本シリーズは作者が初めて書いた架空戦記の再刊。むろん私は初刊本も読んでいるが、構想を新たに加筆した決定版とあるので読み直してみたのだ。
太平洋戦争の時に、明治の軍人たちが指揮をとっていたら……という発想で書かれたものだが、そのために「転生」などというオカルトをもちこんだために、安っぽい感じを与えることは否定できない。この新判は親本と基本的には大きく変わるところはなく、作者のこれよりあとの架空戦記浪漫よりもキワモノ的であるという印象もそのままである。
こういう形の復刊、しかも文庫ではなく同じ新書という形なのでかえって前回よりも値上がりしているということもあり、その意義をあまり見いだせなかった……。それよりもサンマーク出版から出ていて未完のままの作品があるので、そちらを復刊、完結させてほしいのだが。
(1998年4月25日読了)