舞台は昭和71年。つまり平成という元号を持つ我々の世界とは違う、というわけ。でも、その年を98年としているが、計算があわんぞ。どう勘定しても昭和71年は1996年だ。あ、そうか。この世界では1928年が昭和元年なのだ。それにどんな意味がある。
いきなり重箱の隅をつつくようなことを書いてしまった。でも、こういう細かいところって、ちゃんとしておいてほしいなあ。
で、この昭和71年にはエレクトロニクスとオカルトが融合し、テクノマフィアと呼ばれる犯罪集団が跳梁跋扈している。パワードスーツを着た、民間の犯罪始末人クライムファイターによるこれらの犯罪者との戦いを描いた物語。
主人公は「鬼姫」(昔楳図かずおのマンガにこんなタイトルの話があったなあ、関係ないけど)こと龍奈。彼女がテクノマフィアから押収したのは、クローンであるバイオロイドを誕生させるマシン。彼女が声を吹き込んだために、彼女を保護者とする少年、剣が誕生する。龍奈は剣に社会常識などを一から教えなければならない。
一方、剣と同じバイオロイドである少女、那留はテクノマフィアの一員で、剣を自分の手に取り戻そうと龍奈に対して戦いを仕掛ける。
設定やアクションシーンなど個性的で面白いとは思う。オカルトとエレクトロニクスの融合というのがそう。疑似科学としてそれらしく描かれている。ただ、それが十分に物語に生きているかというとちょっと中途半端のような気がしないでもない。もう少し設定を練りこんでもよかったと思う場面もちらほら。しかし、全体にはスカッと読めるアクション小説である。文章が台本のト書きみたいなのが気になるところではあるが。
あとひとつ。シリーズ化を意識してか、龍奈と那留の戦いに決着をつけていない。これ、大いに不満ね。この本が売れないでシリーズにならなかったら二人の戦いはちゅうぶらりんだ。どんな形でもいいからちゃんと決着をつけてほしかった。中途半端はいかんよ。
(1998年5月12日読了)