読書感想文


猫曼魔
図子慧著
小学館キャンバス文庫
1998年5月10日第1刷
定価514円

 「猫曼魔」は主人公の主宰する小劇団の名前。主人公、御子柴がピザ屋のアルバイトで配達している途中でゾンビに襲われた。このゾンビは体の中に菌糸がはびこる奇病でゾンビ化したものなのだ。警察は感染したとおぼしき御子柴を探すが、彼は行方不明に。実は劇団を維持するために新しく守衛のアルバイトに行ったまま奇病のカギを握る男に監禁されてしまったのだ。御子柴を探す劇団員たち、そして警察。また、奇病の正体は……。
 劇団員のキャラクターよし。ゾンビと奇病の正体よし。意味のない人物は登場せず、無駄な描写やよけいな展開もない。まことにスリリングに話は進み、最後まで一気に読める。
 実力とセンスのある作家の手になる、ヤングアダルト小説のライトな部分を生かした上質の軽快なアクション・コメディー。このキャラクターたちの新たな活躍を読みたくなった。続編をぜひ読みたい。

(1998年5月20日読了)


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