読書感想文


艦戦「隼」発進セヨ!
陸軍空母機動部隊戦記 1
荒川佳夫著
学習研究社 歴史群像新書
1998年2月13日第1刷
定価760円

 1941年、中国から手を引き、米国との和平路線をとった日本だが、日独伊三国防共協定の関係で地中海に義勇軍を送り英国艦隊や北アフリカ戦線の英国戦車部隊と戦う。本書はその義勇軍「三矢部隊」の活躍を描いたもの。
 中国から手を引いた、の一言だけでアメリカとの戦争が回避できた、とするのはいささか乱暴なような気がするが、外交の駆け引きにページを割いていたのでは戦闘を中心に描けないから省略したのかな。それならそれでいいのだけど。
 目玉は上陸用舟艇母艦。これを北アフリカで活躍させたい。そのためには大平洋でアメリカと戦ったりアジア大陸で中国と戦ったりしていてはムリがでてくるということなのだろう。確かに、北アフリカ戦線のシミュレーションとしては面白い。
 しかし、本作も、文章の読みにくさ、死ぬためだけに出てくる人物が多すぎてストーリーが煩雑になる点、などなど架空戦記に多い、(私がそう思っている)欠点が目につく。新人のデビュー作なのであまりきびしく見るのもなんだけど、結局また同じタイプの作家がひとり増えただけ…というのが正直な感想です。

(1998年6月2日読了)


目次に戻る

ホームページに戻る