新シリーズの開幕。
ミッドウェイで勝ってアメリカと講和した日本は、戦後、アジア各国の独立を助け、理想的な大東亜共栄圏を作り上げようとしていた。利権を失うことを恐れたルーズベルト米大統領は失脚したマッカーサーを再度起用しフィリピンを奇襲。対する日本は新造空母「三笠」でこれを迎撃する。
作者は史料などから陸軍が実は不拡大方針をとろうとしていたことや東条は天皇の命令なら日米講和もしていたであろうと読み取り、もし日本がミッドウェイ海戦で勝利していたら大東亜共栄圏が理想的なものになった可能性もあると考え、理想的で正しい日本と資本主義的利害で動くアメリカという図式をはっきりさせた物語を書き始めたわけだ。
架空戦記の場合、日本が善玉になるというのはやむを得ないこととは思う。しかし、それでもこうあからさまにやられると、ちょいとつらい。もう少し書きようがあったのでは。
作者の草薙圭一郎はSF作家田中文雄の別名義。なぜ名前を変えて書いているのかは知らないが、前のシリーズがそうだったように、田中文雄の小説としてはあまりにもご都合主義的すぎる。だから、田中ファンが読むとがっくりするかもしれない。
(1998年6月28日読了)