せっかく角川書店さんからいただいたのだからと、20何年かぶりに読み返した。
中学生のころ読んで以来だ。その時は未来からの侵略ものとして読んだのだが、今読むと、侵略ものというような、そうでないような。一言でいうとカリスマによるファシズムとそれに対する民主主義の対決という政治的なテーマの話なんですねえ。
力のないものでも団結すれば勝てるのだという単純な展開ではない。カリスマがその存在感を失った時の行動やらそれでもそのカリスマについていく狂信的な者の姿やらいろいろな様相を非常にわかりやすく描いている。わかりやすくするためだろうか、ちょっとムキ出し過ぎで、今読むといささか気恥ずかしい。この作品が書かれたころは、「理想」というものに対する信頼というべき感覚があって、力を持っていたのだろう。
多感な時期に読んでおいてよかったのかもしれない。
でも、SFの設定はちょっと辛いなあ。未来から過去に介入しにやってくるということなんだけど、そうやって歴史を改変してもパラレルワールドが増えるだけで自分のもといた世界に変化は起こらないと思うんだけれど。
そんな読み方しちゃいけないのかな。
(1998年7月9日読了)