この巻ではまた大高首相が世界について語る場面がけっこう出てきたんだけれど、一時ほど多くはない。かつてはまるまる一冊「大高首相言行録」みたいな巻もあったわけだし。わりとバランスというものを考えた構成になっているといえるのかな、これは。
今回の戦闘はタイトル通りスエズ運河をめぐる日独の攻防戦となっている。レーザーでドイツの爆弾を空中破裂させたり、創意工夫の精神を発揮して現場で兵器を改良して即使用する技術者(手塚治虫「W3」のノッコみたい)が登場したりして、戦いは日本がリード。ドイツ側が独裁者支配と官僚主義の弊害で勝手にこけてくれたという気もするが。ドイツは次々と弱点を露呈して自滅の連続だ。
そろそろこの対戦の後の世界の見通しなんかを伏線として書いておいてくれないだろうか。話がこのまま進むと、ドイツの自滅により日本が大勝をおさめそうだし。それとも、大高語録がその伏線になっているのかも。いつも同じようなことを書いてると思って適当に読み飛ばしていてはいけないのかもしれないな。
(1998年7月18日読了)