新宿を魔界都市に変えた〈魔震〉の謎を追う壮大なストーリーのプロローグにあたるエピソードがいったん完結。
鞄の中に〈魔震〉がはいっていたり、「体内震源地症」や「幻想魔震症」の患者が〈魔震〉の震源地らしい〈亀裂〉で〈魔震〉をめぐって戦ったりと、作者らしい大風呂敷を今回も楽しめる。2冊くらいで〈魔震〉の謎が解けるはずもなく、鍵を握る人物を2人も〈亀裂〉の中に残したまま物語はとりあえず一区切り。
ところどころ説明なしに話が飛躍することが菊地作品にはままあるが、今回は特に〈魔震〉に関わるところでそれがよく見られた感じがする。〈魔震〉については話の流れの中で自然に説明をしていくので、くだくだしい説明は避けた、と取るべきなのだろうか。
私の今回のお気に入りキャラは秋せつらの背中にはりついた「幻想魔震症」の大安忍ちゃん。どんな大事にもケロッとしている大物ぶり。せつらのパートナー的存在としてレギュラーにしてくれないかなあ。
(1998年7月24日読了)