作者は「パレットノベル大賞」の佳作受賞者で、これが文庫デビューとなる。
明るく元気な女子高生、七生のクラスに転入してきた謎の少女、螢子。彼女の唯一の友人となった七生だが、それには理由があった。螢子は七生を狙って接近してきたのである。なぜ狙ったのかというと、それは七生の前世に関係があるのだ。
七生の幼なじみである鷺丸とそのいとこの鷹彦、姉の女鳥の3人は、七生の危機を助けるべく魔を払い螢子の秘密を解きあかそうとする。実はこの3人は古代の血をひく巫女の一族なのである。
道具立ては、そう珍しいものでもない。最近の少女向けオカルト・アクションにありがちな設定と展開だ。ただ、迫力のある文章で引っ張れる力のある新人作家だという印象を受けた。七生が不思議な力で螢子の屋敷にひきこまれピンチに陥る場面など、思わず息をのんだりもする。
アイデアにもう少しオリジナリティがあればもっといいのだが。この作家でなければ書けないというようなものが欲しい。このままだと、今はやっているパターンが飽きられた時にしんどいだろうな、と感じた。2作目を読んでみないとわからないけれど。たぶん、シリーズ化されるんだろうなあ。
(1998年8月8日読了)