デビュー作「NANIWA捜神記」は第3回電撃ゲーム小説大賞の受賞作であった。それ以来、1年半かけて、やっと第2作が登場した。シリーズ第2弾となる。
大阪の西中島に霊能探偵事務所を構える時夜鴒をたよって、高校生の女の子、颯穂が人探しを依頼する。行方不明になったのは、弟、譲。鴒は別口の依頼で人目に写らなくなった古い祠を探すうちに、その祠がマヨイガとなって子どもたちを誘い込んでいるのを発見する。
本書のユニークなところは、霊的な存在の移動手段としてポケベルやインターネットなどの電波ネットが使われているというところである。オカルトと現代文明を巧みに融合させているのだ。これはけっこう難しいことではないかと思うのだが、作者は工夫をこらしてそれを不自然にならないように使いこなしいる。
設定は近未来であるが、テーマは現代の子どもたちがおかれている状況を扱っていて、問題意識の高いシリーズとなっている。
単純なアクションだけではないものを書ける作家で、デビュー作の時も注目していたのだが、今後に期待の持てる作家の一人といえる。
ところで、作者はあとがきで「編集部からシリーズ化を求められた」と書いている。ところが、作者はシリーズにするつもりはなかったので、設定を再構築しストーリーを組み立てるのに苦しんだと書いているのだ。これはヤングアダルト小説の抱える大きな問題点ではないだろうか。好評なものはシリーズ化すれば売れるのは確かだろう。しかし、作家がいったん完結させたものまで無理矢理シリーズにしてもよいのだろうか。今回は作家に実力があったのでなんとか第2作が完成したといえるが、無理にシリーズにしようとしてかえって才能のある作家をつぶすことになる場合もあるのではないだろうか。ただでさえ、賞をとった後の第2作というのは難しいものなのに。
もうひとつ、ある。
本書のイラストは正直いって、作品の雰囲気とまるであっていない。ヤングアダルトの場合、イラストレーターの選び方によっては話を殺してしまいかねない場合もあるだろう。本書だと、もっと繊細な画風のイラストレーターの方があっているように思う。
この2点は、編集者の姿勢の問題だと思う。私は、本書に関してはそのあたりに疑問を感じてしまったのである。
(1998年8月8日読了)