「Aの戒律」に続くシリーズ第2作。
男子寮にすむ人を寄せつけない高校生、天草は、三体の天使を従えるデーモンバスターで、今回は音楽教師にとり憑いた悪魔を退治する。
デーモンバスターが式神を放つ陰陽師で悪魔が古代の荒ぶる神であると設定を取り替えたところでなんら変わるところはあるまい。この設定でこのキャラクターであるという必然性を、私は感じなかったのである。
また、男子寮に入ったら当然のように男どうしが恋愛をしたり、「ホモは嫌いだ」と広言する神父を変人扱いしたりっていうのは、いわゆる「やおい」小説の文法では当然のことなのだろうか?
正直なところ、こういう美少年恋愛小説というのは本当のゲイの人たちに対してすごく失礼なんではないかという気がするのは私だけか?
読者たちは主人公の恋の痛みをこのような形のもので共有できるのだろうか?
共有なんてしなくてもいいのだといわれれば、それはそれで仕方ないことなのかもしれないのだけれど、読書の有りようとしては、違和感というものを感じてしまうことも事実なのだ。
もっとちゃんと男性を直視して描くことはできないものなのだろうか。
(1998年8月17日読了)