古代から人間の文明の変化を見つめ、また手を貸してきた2人の宇宙人がいる。テスカトリポカと呼ばれる片方は人間を争わせ、破壊の上に文明は進歩すると考えてさらに争いをあおる。ケツアルコアトルと呼ばれるもう片方は争いは文明を破壊するだけのものだからそれを止めようとする。
この2人は明治初期の日本に出現。テスカトリポカは幕末に死んだ新選組のメンバーを生き人形として蘇らせ、西南戦争を拡大させようとする。復活した沖田総司は、本来なら蘇るはずのない生前の記憶までかすかに復元されてしまう。かつて、愛した女性を守れなかった苦い記憶から、沖田は英国商人の娘ミリアムを救おうとし、テスカトリポカに反逆する。
やがて沖田総司と土方歳三の対決というクライマックスが……。
もし、新選組が明治に蘇ったら、という設定を架空戦記という形をとるのではなく、宇宙人によって人形として復活するというアイデアがいい。しかも、戦争と文明の進歩という大きなテーマとからませているので、話のスケールが大きくなっている。
人形であることに悩む沖田総司も魅力的ではあるが、テスカトリポカ、大久保利通などに代表される、目的のためなら手段を選ばない力の持ち主と、その手段として使われる手駒たちの抵抗する姿もまた魅力的である。
この作者の小説は私は初めて読んだのだが、なかなかの実力の持ち主である。ヤングアダルトだけではなく大人向けのSFも書いてもらいたいと思うし、読んでみたい。
(1998年8月23日読了)