読書感想文


RIKO−女神の永遠−
柴田よしき著
角川書店
1995年5月25日第1刷
定価1359円

 第15回横溝正史賞受賞作。作者のデビュー作である。
 いきなりこの筆力だから、それ以降の活躍も納得できるというものだ。
 主人公、緑子(リコ)は恋人がいながら上司と不倫、上司の妻に刺されるという経験、その後に受けた仕打ちなどから、愛というものを拒否するようになった。少年レイプビデオ事件をきっかけに元の同僚たちとともに捜査を始める。
 緑子は実は愛に飢えており、交通巡査の麻里とのレズ体験、若い部下とのセックスなどで満たされない思いを埋めようとしているのだ。捜査をしていく中で彼女は自分が人として女として自立していくことによって過去の傷を克服していく。
 緑子のその強さ、そして保守的な男性たちに叩き付ける女性であるということの存在感など、読んでいて圧倒されるばかりである。口先だけの「女性の自立」ではない。女性というだけで、人間として自力で生きていくことが難しいこの社会、警察組織の中で、表面的な「社会正義」という題目を乗り越えて自分自身の正義のために戦う緑子の姿は、鮮烈である。

(1998年8月25日読了)


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