本の好きな高校生の眼鏡っ娘、文絵が主人公。憧れの男の子から手渡された3冊の古書を開くと、そこから現れたのは3人の書神。文絵はその書神たちとともに、ノストラダムスの予言詩を現実のものとしようとし、恐怖の大王を出現させようとたくらむ一味と戦うことになる。
ノストラダムスの予言詩は彼が望んでいたキリスト再臨を詩に託したもので1999年の終末を預言したものではないという解釈をもとに、誤った終末的解釈によってひき起こされる人々の恐怖心をエネルギーとして自らを世界の支配者にしようとするというアイデアが面白い。また、よく調べもしないで誤った解釈にふりまわされる人々への批判というテーマも読み取れる。
コミカルな味つけがしてあって軽く楽しく読めるようにしていると思うのだが、それがちょっと中途半端であるように思う。もう少しシリアスでも十分に楽しめる展開であるから、変な味つけはかえって邪魔ではないだろうか。
また、文絵の淡い初恋などを書き込んで彼女の「普通らしさ」を強調した方が、戦いの時の彼女の変化ぶりが際立ったように思う。
そこらへんの中途半端さというでかなり損をしてるように感じられた。
(1998年9月1日読了)