読書感想文


南総里見八犬伝
平岩弓枝文・佐多芳郎画
中公文庫
1995年9月18日第1刷
定価699円

 私は子どもの頃から「八犬伝」が大好き。人形劇の「新八犬伝」が始まる前から大好きで子ども向けのリライト版も数冊持っている。自慢にもなんにもならないけれど岩波文庫の「南総里見八犬伝」(曲亭馬琴/小池藤五郎校訂)全十巻も読破したことがある。
 本書はベテラン作家によるリライト。さすがに要点をつかむのがうまく、あらすじだけはわかりやすく書かれている。しかし、それ以上のものでもそれ以下のものでもないという気がする。「八犬伝」の世界をより深く掘り下げているわけでもないし、隠された意味を再発見するというような試みもない。その点では大いに食い足りない。
 ただ、ダイジェスト版ということではコンパクトにまとまっている。51葉にわたる挿画も美しい。これから「八犬伝」を読んでみようかなという人にはいいかもしれない。
 ちなみに、これまで読んだ「八犬伝」のリライト版で私がお薦めしたいのは、大人向けでは山田風太郎「八犬傳」(廣済堂文庫)、子ども向けでは加藤武雄「里見八犬伝」(偕成社)である。

(1998年10月9日読了)


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